【小学校受験】絵画テストのポイントと注意点
こんにちは。つくるです。
小学校受験の項目のひとつに『絵画』があります。
今回は【絵画】についてポイントと注意点をお話しします。
首都圏 私立・国立小学校合格マニュアル 入試準備号〈2020年度〉
【絵画テスト】には大きく分けて2つあります。
ひとつは個別で描く絵画、もう一つは集団で描く共同絵画です。
それぞれのテストについてお話ししていきましょう!
個別で絵を描く『絵画テスト』について
1人に一枚ずつ紙が配られて、 課題(テーマ)に沿った絵を描くテストです。
「どんな課題(テーマ)なのかな?」
出題される『課題(テーマ)』には2つのタイプがあります
【 ① 思い出や日頃の様子を描かせるもの。】
具体的に例を挙げてみます。
【例題】
『幼稚園で遊んでいる絵を描きましょう』
『夏休みの思い出の絵を描きましょう』
このように思い出や日常の様子がテーマになります。
お休みの日の様子や夜ご飯を食べている絵など、
特に、家族の姿を描かせるテーマはよく出題されます。
必ず、お父さんお母さん兄弟姉妹など、 家族全員を描きましょう!
学校側が見ているポイントは何だろう?
家族の絵を描く課題では、学校側はお子さんの描いた絵を通して『家族の様子』を見たいのです。
面接や願書などでは見えてこない本当の家族の様子を子どもの絵を通して見ようとしています。
とはいえ、お仕事が忙しくて、なかなか家族揃って食事をしたり遊んだりすることが難しいご家庭もあるかと思います。
お休みの日だけでもよいので、家族そろって食卓を囲んで楽しく食事をしたり、近所の公園で遊んで 家族で過ごす楽しい時間をつくりましょう。
「家族の思い出の絵が出題されたら、夏休みの旅行の絵を描きなさい。」「おうちでご飯を食べている絵が出題されたら、(いつもは会話もあまりなく家族揃って食事しないけれど)家族そろってニコニコ笑って食事している絵を描きなさい」など、お子さんに指示をして、描く絵を準備させてしまう親御さんがいらっしゃいます。
本番の試験では、描いている絵について先生が質問を投げかけてきます。お子さんは素直ですし、先生は巧みに質問をしてきますので「絵を描くときは家族そろって描くように言われているから描いた」ということが知られてしまうことが多々あります。
とはいえ、お仕事が忙しいお父さまが毎晩家族と一緒にお食事をするのは難しいと思いますので、毎日でなくても大丈夫です。その代わり、お休みの日は楽しく食卓を囲んでください。そしてその食事ではお子さんとの会話を楽しんでください。
お子さんは、楽しく過ごした時のことが印象に残りますので、日曜日の楽しい家族の絵を喜んで描きます。「日曜日はお父さんもお仕事がお休みなので、お休みの日は、家族みんなでお母さんの作ったご飯を食べることができて楽しくて嬉しいです」ということが学校側にわかれば十分です。
「でも、何を描けばいいのかなぁ・・・」
まずは、自由に好きなように絵を描いてみましょう!
描くことを楽しむこと、好きになることが大切です。
お母さんお父さんは描いた絵について、楽しみながら、たくさん質問してあげてください。
それでも、どんな風に描けばいいのか迷っているお子さんには
例えばお休みの日の家族の絵を描くという課題でしたら、
「この前の日曜日、○○公園でお父さんとお母さんと一緒によーいどんのかけっこして楽しかったよね!」と話したり、
おうちでご飯を食べている絵の場合は「お母さんは日曜日にお父さんも一緒にみんなでご飯を食べる時が楽しくて大好きだなぁ。ご飯も美味しい!って思うのよね」など、楽しい記憶が引き出せるようにヒントをあげると良いでしょう。楽しく描くことが何よりも大事です。
お友だちと遊んでいる絵や幼稚園での様子を描く場合は、必ず自分と一緒にお友だちや先生も描きましょう。お子さんが1人でいる絵を描いた時は「誰と一緒に遊んだのかな?」「○○ちゃんも一緒に描いてあげようね」と声をかけてあげてください。
では続いて、課題(テーマ)の二つ目をみてましょう!
【② 『想像したもの(こと)』を描かせるもの。】
具体的に例を挙げてみます。
【例題】
(ドアの絵を見ながら)
『どこにでもいけるドアです。このドアを通ってあなたが行きたい場所の絵を描きましょう』
(桃太郎と鬼ヶ島の絵を見ながら)
『あなたが桃太郎だったらお供に誰を連れていきたいですか?お供を連れている様子を描きましょう』
例題は早稲田実業初等部で出題された絵画テストです。
このように、お子さんの想像力を駆り立てて、描かせるテストです。
近年多く出題されているタイプの課題は、この【想像画】です!
学校側が見ているポイントは何だろう?
学校側は、お子さんの発想力や想像力を見ています。
そして想像することを楽しんでいるかどうかも見ています。
上記の例題のように何かを見ながら描かせるテストも多いです。
そして、その絵について質問をしてきます。お子さんが生き生きと会話を楽しむことが大切です。
行動観察重視校では「想像画」からお子さんの持っている好奇心や個性、どんなご家庭(ご両親)なのか、ということも見ているのです。
想像の世界を楽しむことが大切です。子どもはもともと想像や空想の世界が大好きです。
日頃から、想像力を広げてその世界を楽しみましょう。
そのためには、まず、お子さんの発想力や想像力を引き出すような会話を楽しむことが大切です。
例えば「魔法のじゅうたんで不思議な国に行きました。どんなところかな?」
とお子さんに聞いてみたり、「お父さんはこんな場所に行ってみたいな」と
とお父さんお母さんも一緒に想像して楽しんでみましょう。
「でも、何を描けばいいんだろう・・・」
まずは先ほどのように、想像の世界を十分に楽しんだ後、
「じゃあ絵に描いてみよう!」と言って、想像したことを絵に描いてみましょう。
描いた絵について、「どんなところを描いたのか」「これは何?」「不思議な乗り物だね!どんなことができるの?」と、たくさん聞いてあげてください。お子さんの世界がどんどん豊かに広がっていきます。
絵本やお話を読んだ後に、その絵本の世界の続きについて描いたり、「絵本に出てきた魔法が○○君も使えるなら何がしたい?」と「もしも・・・」の世界を絵本を手掛かりに親子で楽しんでみてください。想像力を広げていくことの楽しさを知るとお子さんの好奇心も広がっていきますよ。
つぎに、集団で描く『共同絵画』について見てみましょう。
集団で絵を描く『共同絵画』について
「どんなテストなのかな?」
行動観察の集団テストで実施されます。
【例題】
3、4人ぐらいのグループに分かれる。動物のいない動物園の絵が描いてある模造紙が一枚置かれている。他にクレヨンが1セットのみ用意されている。
「みんなで相談して、柵やおりの中に動物を描きましょう」
つまり「共同絵画」とは、子ども同士協力して一枚の絵を仕上げる集団テストです。
学校側が見ているポイントは何だろう?
行動観察のテストですので、集団でのお子さんの様子を見ています。
好き勝手に描くのではなく、お友だちと相談しながら楽しく描くことができるか?ということがとても重要です。
【具体的なポイントは3つあります。】
1. お友だちと相談することができるかな?
自分の意見を伝えながら、お友だちの意見も聞いて、相談して決めることが大切です。
2.道具をお友だちと一緒に使うことができるかな?
クレヨンなどを独り占めせず、お互いに貸し借りできることが大切です。
3. お友だちと一緒に楽しむことができるかな?
自分の意見が通らなくても、気持ちを切り替えてみんなと一緒に楽しむことや使いたいクレヨンを使う順番がなかなか回ってこなかったり、独り占めにしている子がいても違う色を使って描く柔軟性を持つことが大切です。
4. 作業している間の姿勢や道具の使い方は正しいかな?
ついつい夢中になってしまうと使っているクレヨンを折ってしまったり、床に座って描くときに寝転がってしまったりしてしまうことのないようにしましょう。
☆集行動観察のポイントについてはこちらをご参考ください。
tsukuruno.hatenablog.com
お絵かきが苦手なお子さんはどうしたらいいの?
絵を描くことが苦手なお子さまもいらっしゃると思います。
幼児教室に勤めていた時も「絵画教室に通った方がいいですか?」という質問をよく受けました。
結論から言うと、小学校受験のために絵画教室に通う必要はありません。
なぜなら、学校側は絵画テストに完璧な絵を求めていないからです。
幼児教室で講師をしていた時のエピソードを紹介します
A子ちゃんは、年長さんのテストの時に初めて教室に来てくれました。
普段は個別の塾と絵画教室に通っているということでした。
総合力の高いお子さんでしたが、ひとつだけ気になることがありました。
それは『絵画』です。
「魔法の国の生き物の卵から、不思議な生き物が出てきました。どんな生き物かな?」
確かこのような課題だったと思います。
A子ちゃんは、迷わずスラスラと孔雀が羽を広げた絵を描きました。
画用紙に大きく描かれた孔雀の絵は、上手に描けています。
クレヨンの側面を使って塗ったり、数本のクレヨンを同時に用いたり、手でぼかしを入れたりと様々な技法を使っていました。
しかし絵画の点数は、あまり高くはありませんでした。
なぜでしょうか?
想像力が乏しいと判断されてしまった事も理由のひとつではありますが、その他に「こういう課題の時はこの絵を描く」という決まり通りに描いていることが、絵を描く様子からもわかりました。自宅で孔雀の絵をたくさん練習しているようです。また「どうしてこの絵を描いたのかな?」という質問にA子ちゃんは言葉に詰まってしまい、答えられませんでした。
テストの採点ポイントは絵が上手かどうかではありません。
子どもらしく、伸び伸びと(想像力豊かに)描くことが重要です。
ですので、むしろ年齢不相応の高度な技術は使うべきではありません。
その後、教室に通ってくれるようになったA子ちゃんには、
好きな絵を楽しく好きなように描いてごらん!と声がけをするようにしました。
お母さまから聞いたところ「絵画教室で、この絵(孔雀)を描けばよい」と言われたので、いつも孔雀を描くように言ってしまっていたそうです。
丁寧に色を塗ることは大切ですが、技法を凝らす必要はありません。
絵画というは不思議です。
子どもが楽しんで描いているのか、そうでないのかが、すぐにわかります。
描いている様子でもわかりますし、出来上がった絵を見てもわかります。
良くも悪くも子どもの心が映し出されるものなのです。
絵の練習はしなくていいの?
志望校に『絵画テスト』が実施されるのなら、絵の練習をしましょう。
高い画力は必要ありませんが、年相応の絵を描く力をつける必要があります。
苦手意識を持ちやすいのが絵画です。
どうやって描いたらいいかわからない。自信がない。という気持ちが先に出てしまい、絵が小さくなってしまったり、描くことが嫌になってしまうお子さんも多くいらっしゃいます。
苦手意識を持たないように、小さいころから、なぐり書きや大きな紙に絵を描くことを楽しむ経験を積むことが大切です。
そして日頃から、お子さんの絵を褒めてあげてください。
いつから練習すればいいの?
年長さんになってからで十分間に合います。
年長さんになる前から「こうやって描きなさい」と教える必要はありません。
しかし、年長さんになっても絵を描くことが苦手でどうしても描けないお子さんには、絵の描き方を教えてあげる必要があります。
苦手な子にどうやって教えたらいいの?
お受験用の絵画の練習のポイントは3つあります。
① クレヨンの使い方から教えましょう。
まずはクレヨンの使い方から教えてあげてください。
例えば画用紙に肌色で丸を描いて塗りつぶし「肌色の上からなら目や鼻や口が描ける」ということを知ることが大切です。
苦手なお子さんは最初に目を描いてしまってから肌色を塗ろうとして、色が混ざってしまいグチャグチャになってしまうことがあります。
クレヨンの特性を知ることから始めてみてください。
② 画用紙に大きく描く練習しましょう。
上記にも書きましたが、画用紙に大きく肌色で丸を描いて、画用紙に大きく顔を描いてみてください。
親御さんも一緒に描いてみてください。細かく教える必要はありません。
親御さんが画用紙に大きく描いている様子を見て、お子さんは必ず真似をします。
絵は真似から始めることが上手になる近道です。
ですのでお父さんお母さんが一緒にお絵かきをしてあげてください。
③ 正面の絵でよいので人物画を練習しましょう。
まずは顔を描いてみてください(首、肩があってもよい)。その際、目や鼻や口や耳があることなどを自分の顔を鏡で見て確かめながら描いてみるのもよいでしょう。
楽しく親子で描いてみてください。
まずは自分の顔を描いてみましょう。その後、家族みんなの顔を描いてみるのもいいでしょう。
大きく描けたら「上手に描けたね!」と褒めてあげてください。絵を飾ってあげましょう。とても嬉しいことですし自信につながります。
顔の後、同じ大きさの画用紙で全身を描く練習をしてみましょう。
「肩って頭よりも大きいね。腕ってこのくらい長いね。」と、親子で自分の体を鏡などで見ながら、体のバランスなども意識して描くとよいでしょう。
絵画が苦手な子は多いのですが、苦手な子が、苦手意識が無くなって絵を描くことが好きになり、どんどん自信をつけていき、短期間の絵画講習だけで、見違えるように生き生きとした絵を描くようになる姿もたくさん見てきました
。
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