【幼児教室選び】そのお教室は、本当に大丈夫?〜小学校受験準備〜
以前、幼児教室に勤めていた時のお話しです。
たしか5月くらいの時期だったと思います。
年長さんの女の子(仮に花子ちゃんとします)が、お母さまと一緒に見学に来てくれました。
花子ちゃんは小学校受験のために
2歳の時から家の近くの幼児教室に通っている。とのことでした。
「2歳の時から小学校受験のために幼児教室へ通っているなら、しっかりと準備できているんだろうな。」
そう思っていながら面談室に入ると
お母さまが「先生、この子すごいんです。」
と、おもむろに、国旗のカードをカバンから出して、ものすごい速さでカードをめくり始めました。
そして、その一瞬見えた国旗のカードを見て、
花子ちゃんは「バングラディシュ!」「ペルー!」など、国名を大きな声で言い当てていました。
私はとても驚いた後、言いました。
小学校受験のための練習や準備はできていますか?
花子ちゃんが通っている幼児教室は、知育教育の教室でした。
小さい時から脳を鍛えることで、集中力を高め、記憶力、認知力、言語能力など、あらゆる潜在能力を高めるそうです。
小学校受験を目指している子どももいるとのことでした。
プリント問題もやっているとのことでしたが、お話しの記憶のような問題や、足し算などの計算問題、字を書いたり漢字を読んだりするプリントをその塾ではやっていました。
私は、すぐに体験をしていただくよう勧めました。
どのくらいの習熟度か知りたかったですし、
そしてなによりもお母さまに、小学校受験のための勉強や練習が、どんなものであるかを知っていただく必要があったからです。
花子ちゃんはお話しの記憶と数量の力はついていました。
しかし、その他の項目のプリント問題ができず、生活習慣や巧緻性、行動観察などは身についていませんでした。
体験の様子を見たお母さまは、
「もっと、できると思っていました。」
と、とても驚かれていました。
花子ちゃんは、いったん知育教室はお休みし、
小学校受験のために教室に来ることになりました。
ご自宅でも家庭学習を進めていただき
本人も一生懸命頑張りました。
結局、花子ちゃんは第一志望の難関校の合格は、いただけませんでした。
お母さまは、志望校に合格できずにとても残念がっていました。
私は、ご希望の学校に合格させてあげることができず大変申し訳なく思うと同時に、
「もし、もう少し早く、小学校受験のための準備をしていたら。」
と思ったことを覚えています。
能力開発の幼児教室を否定するつもりは全くありません。
むしろ、小さなころから知育の教室に通ったことで身についた、集中力や記憶力が、とても大きな力になっているとも感じました。
しかし、小学校受験はそれだけでは合格できません。
小学校受験のための練習を積み重ねる必要があるのです。
ペーパーだけではなく、行動観察、絵画、制作、運動、面接など